できそこないの男たち
福岡伸一著 「できそこないの男たち」
「男なんだから泣いちゃいけません」「男は黙って耐えるもの」「頼られる男にならなくちゃ」...子供の頃から、飽きるほど聞かされた台詞。こういうことをたくさん言われるということは、まあ、私がだいたいどういう子供だったか、カンの良い人なら(いや、良くなくても)わかるだろう。
ただ、私は、大人に何か言われたからといって、簡単に「そうなのかあ」と思うほど素直(アホ)ではなかった。何しろ、学校で習ったのだ。「人間は皆、平等です」「男女は同権です」と。学校だけではない。どの本を読んでもやっぱりそう書いてある。
平等なんだったら、男ばっかりしっかりするのはおかしい。男だって悲しい時は泣けばいいじゃないか。男だからってやたらに頼られても困る。同権なのに、男だけが黙って耐えなくちゃいけない道理がない。何をどう考えても、そうとしか思えなかった。ずっと、ずっと、そう信じて大きくなった...
いや、ほんと、生きてて、よかった。福岡先生という偉い学者さんが、お墨付きをくれたのだ。「男はできそこないです」と。人間は本来、女であり、男は、ちょっと遺伝子プールをかき回すために、仕方なく、女をへたくそにカスタマイズして作られただけのできそこないなのだった。なら、別に男だからって、しっかりしなくていいよなあ。ああ、ほっとした。やっぱりなあ。
そうとわかれば、私はこれからも「男だから」という理由でしっかりしたり、涙をこらえたりはしない。しっかりしたり、涙をこらえたりするときは、あくまで自分がそうしたいから、そうすべきだと思うからそうするのだ。決して男だから、ではない。だって男はできそこないなのだから、男にそんなことはできないのだ。でも、男でもなく女でもなく、一人の人間としての「私」になら、できるかもしれない。いや、きっとできる。
人は男に生まれるのではない。男になるのだ。
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
男性への差別によって救われている男性もいたんですね。
ちょっと新鮮でした。
ただ、この福岡伸一という方は学会では非常に評判の悪い人で、学問的に非常識なことを多く口走ります。
「福岡伸一 トンデモ」などと検索いただければ分かるかと。
投稿: | 2018年7月10日 (火) 18時00分